参考情報:ドラマ教育の系譜②

シリーズとしてドラマ教育について概要を解説してみました。
①ドラマ教育の概要

参考情報:ドラマ教育について


②ドラマ教育の系譜:Creative Dramatics

参考情報:ドラマ教育の系譜①

今日はイギリス発祥で長らく日本での演劇教育のパイオニア達にも大きな影響を与えてきた”Drama in Education”について解説してみます。

◆Drama in Education
1.背景(成り立ち)
創始者はイギリスのブライアン・ウェイ(1923-2006)です。
彼はイギリスの公教育の
①国語教育の中でシェークスピアが重要な位置づけを占める
②フランシス=ベーコンからの経験論を重視する
③反中央集権的で画一化を忌避する
といった伝統的な特徴をもとにドラマ教育を理論的・実践的に演劇に通じていない人にもわかりやすい形でまとめました。

2.目的及び学習内容
彼が画期的だったのは、
①情緒的なものや精神的なものを含めた言語活動を7つに分類
(発話する、体を動かす、想像する、感知する、集中する、知性を働かせる、感情を制御する)
②社会的存在としての人間のありかたを4つに分類
(環境の認知、他者の認知、自己解放と自己理解、自己実現)
③2つの軸の交点にドラマ教育上の学習内容を設定したことです。

言わずもがな、①と②の交差する部分は子どもの学習課題ともオーバーラップします。

3.手法の特徴
ウェイは「ドラマ教育とは何か?」という問いに対して明快な答えを与えました。
・ドラマ教育とは直接的な経験に基づくものであり、知識伝達の場ではない
・ドラマ教育とは演ずるものが学ぶためのものではなく、見せるためのものではない

そして、彼の答えはそのまま彼の手法の特徴となっています。

◎知識伝達の場ではない
知識教育とは異なるドラマによる教育としてウェイは、彼の著書でこう記しています。

”ここに「盲人とは何ですか」という質問があったとする。答えはきっと「盲人とは目の見えない人のことです」となるだろう。しかし、こんな答えも考えられないか。「目を閉じてごらん。ずーっとつぶったまんまでいるんだよ。この部屋の出口を探してごらん」。始めの答えはまさしく正確な情報であり、知的満足を与えるものである。のちの答えは直接経験に訴え、心と魂に触れるものである。これこそドラマの役割である”

◎観客を排除する
観客の排除について、彼はこう記しています。

”集中を妨げるもの、挫折させるもの、全てを壊してしまういろいろの要因がある。その最たるものは観客である。自分のしていることを見られているとき、集中する態度は二分されてします。一つは実際に行われていることに、もう一つは見ているものへの迎合である。このことを楽しむものもいるし、嫌うものもいる。良い刺激になるかもしれないし、妨害になるかもしれない。われわれ(ファシリテーター)の態度がどうであり集中することが二分されてしまうは事実である。このような理由から理由から、他人に見られる心構えができるまでは、観客の目を避けたほうがいい。”

◎今日のドラマ教育の原点
誤解を恐れずに言えば、彼のドラマ教育は最も伝統的なものです。彼の理論や実践をもとにイギリスでもほかの国でも様々な理論や実践が行われてたといっても過言ではないでしょう。

ちなみに欧州ではイギリスはもとより、イエナプランで話題になっているオランダでもドラマ教育は行われているようですね。

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